高校 国語総合 【神様】人間と動物の共存を考える
東海大学菅生高等学校 大塚 哲也
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前提
初発の感想を書く。
単元最後に感想を書き、変化に気づかせることを目的にしている。
展開1
くまの性格を把握する
文中の言動から、くまがどのような性格かを読み解く。
まずは個人学習でTTに書き、その後グループ学習で意見を加える。
そして、個人学習にてくまの性格をまとめる。このとき、文中の言葉でも自分の言葉でもどちらでも良い。
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【提出箱】に提出後、クラスの意見を共有する。
その後全体学習として、くまの努力する姿勢、文中の「成熟したくま」という表現の意味を理解する。
展開2
くまの言う「邪気」の意味を理解する
文中でくまの言う「小さい人は邪気がないですなあ」「子供さんはみんな無邪気ですよ」に注目する。
そして、辞書で述べる「邪気」が「悪いことを考える心」(三省堂国語辞典第七版)ということから、子供に対する大人は「悪いことを考えている」点を見いだし、この場合の「悪いこと=恐怖」であることに気づかせる。
ベン図を用いて、登場人物たちの「好奇心」が強い・弱いと読み取れる場面を抜き出す。
個人学習後、グループ学習。
そのグループ内で、分類の理由を発表し、共有する。
共有後は、訂正する時間を設ける。
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【提出箱】へ提出する。
このとき、全体学習として、くまの言う「邪気」がくまに襲われるかもしれないという「恐怖心」であることに気づかせる。
「子供は好奇心が強いのはなぜか?」「大人が好奇心はあるものの、そこまで強くないのはなぜか?」などとヒントを与える。
その後、【ツールの切り替え】をし、ダイヤモンドランキングにする。
「車の運転手」・「男二人」・「子供」・「釣り人たち」に加え、「わたし」はどの位置になるかを考える。(個人学習)
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そして、〈「わたし」はくまにとってどのような存在か〉を考え、R80を用いてまとめる。(カードにまとめ【提出箱】へ)
《R80の方法》
・80文字以内
・必ず2文にする(40字×2文が目安)
・2文を必ず接続語で結ぶ
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展開3
「熊の神様」はどのような神様か
まず、「抱擁」のシーンを音読し、熊手チャートでそのシーンをまとめる。
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【提出箱】へ提出後、全体学習の中で「わたし」にとってこの「抱擁」が印象的であったことを理解する。
その後、「くまに『熊の神様のお恵みがあなたの上にも降り注ぎますように』と言わせた[わたしの言動]」をまとめる。
個人学習後、グループ学習。
そのグループ内で、発表する。
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そして、〈くまにとって「わたし」はどのような存在か〉を考え、カードにまとめ【提出箱】へ提出する。
電子黒板等でクラスの意見を共有した後、なぜそのような答えになったかの根拠も含めて発表する。
次に、〈「熊の神様」はどのような神様か〉を考える。
基本的には文脈に沿った想像だが、根拠を伴えばある程度自由な発想もよいこととする。
なお、「神様とは、恵みや罰を与える存在で、どのような場面でその恵みや罰が与えられるかを考える」といったヒントを与える。
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そして、座標軸で考えた「熊の神様」をカードに文章化し、【提出箱】へ提出する。
電子黒板等でクラスの意見を共有した後、なぜそのような答えになったかの根拠も含めて発表する。
展開4
くまのその後を考える
話の展開から、くまは以前も人間界に住み、「わたし」の町に引っ越してきたことを、教科書本文よりおさえる。
そして、熊手チャートを用いて、〈くまが引っ越してきた理由〉を本文を根拠に考え、まとめる。
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全体学習で、クラスの意見を提示しする。
本文を根拠にすると、「人間との共存の難しさ」が出てくると想定される。
そこで、現実世界において人間と動物が「共存」するためにはどのようなことが重要かを、『野生動物と共存できるか~保全生態学入門~』(高槻成紀著・岩波ジュニア新書)の抜粋をプリントにし、配布する。
そして、「共存」に必要だと述べられていることを、カードにまとめ【提出箱】へ提出する。
クラスの意見を全体学習で共有し、まとめる。
そして、今一度「くまが引っ越してきた理由」を考え、さらには今後くまはどうなるかを予測する。(カードにまとめ【提出箱】へ提出。クラスの意見を全体学習で共有する)
最後に、「神様」の後日談にあたる「草上の昼食」をプリントにて配布し、自分が立てた予測と、後日談が合っていたか否かを確認する。
まとめ
感想と振り返り
ノートに学習後の感想を書く。
そして、PMIを用いて、最初の感想と最後の感想がどう変化したか等をまとめる。
自分の変化を客観的に見つめ、学習の成果を可視化する。
なお、「未だ判然としない点」は、学習を経たことでさらなる疑問がわき、より発展的な学習へとつなげる狙いがある。
この点についての事後学習は、生徒と教員の個別のやりとりも含め、丁寧な対応を心がける。
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【参考文献】
◇「神様」・川上弘美著・中央公論社・2001年10月1日発行
◇「野生動物と共存できるか~保全生態学入門~・高槻成紀著・岩波書店・2006年6月20日発行